東京
今週のお題「好きな街」
田舎者の自分にとっては、『東京』という響きは、何か別世界がそこには広がっていると言った感覚に近かった。
東京への憧れは中学校の時からどんどん大きくなっていった。
トウキョウはブラウン管の中で少年の頭の中で大きく膨れあがり、建ち並ぶビルや、夕焼けの中に流れる汚染された川の水、また線路を覆う落書きによって肌を隠した長い塀。
少年の心臓の裏側に沢山のネガを生成した。
東京という街はとてもドラマティックでもあり、近代的でもあり、無機質な印象があった。
初めて住み始めたのは中央線沿いにある国分寺。
今、都心で生活している私でも、当時は国分寺に降り立った時『都会だな』と感じた。
まるで、自分の人生が映画のワンシーンのように、陶酔に近い感覚を持ち合わせながら生活した。
これから始まるであろう成功までの道のりを楽しみながら、沢山の出会いやたくさんの学び、また寂しさまで手にしていたのが18才の少年。
2004年のその年は、日銀の金融政策によって『いざなぎ景気』と呼ばれる緩やかな回復期を迎える頃だった。
当時の自分のメンタルの影響もあったのかとも思うけど、どこか街には活気があり、未来の成功が少年の中で確信に変わっていた。
東京という街、そして何より東京といった言葉の響きには、今でも特別なものを感じる。
その後、渋谷区や世田谷区とすみかを移したが、今でも自分にとって東京にはある種の旅をしている感覚がつきまとっている。
街という物は生き物だと誰かが言った。
なるほど、街は一日一日姿を変え、近代的に変貌を遂げたり、また人に見放され荒廃する場所もある。
街は、人のこころそのものを映し出す鏡なのかもしれないと感じている。
その街に住み、その街の空気を作る、その人々の心そのもの。
東京がこれからも、ドラマティックであり、近代的であり、またノスタルジックでもあり、どこか無機的であることを望んでいる。